バックパッカーとは、格安でリュックを背負い中長期に渡り海外を旅する個人旅行者のことを指します。英語のバックパック(Backpack:意味はリュック)が語源であり、日本において認知されはじめたのは1980年代。経済成長と格安航空券の登場により若者の間で大流行しました。
バックパッカー旅の最大の魅力は自由度の高さと異文化の体験に尽きます。ツアー旅行とは異なり中長期に渡り格安で旅するため、より現地人の目線に合わせた暮らしを体験できるのです。特に日本よりも貧しい途上国で庶民的な暮らしを体験することで、相対的な幸せを感じられたり、時には海外ならではのカオスな経験を得られることが普通の旅行にはない魅力と言えます。
筆者は20代前半から5年以上のバックパッカー旅を経験したことで、価値観や人生そのものが大きく変わった人間です。なのでバックパッカー旅に興味を持っている人には是非人生で一度は経験してみてほしいと思いますし、大いに背中を押してあげたいとも思っています。
そこで、この記事ではバックパッカーになりたい人へ向けた「完全ガイド」として、バックパッカーのライフスタイルや準備に必要なもの、どんなホテルに泊まるのか、そして将来どうなるかといった点を含め、バックパッカーについて包括的に解説しています。
バックパッカーとは?どんなライフスタイルなのか?
バックパッカーに旅行期間の定義は存在しませんが、おおむね短い人だと1ヶ月〜長い人でも1年くらい。また、筆者が知る強者の中には10年以上日本に帰っていない人もいます。初めてバックパッカーをする人だと、多くが1〜3ヶ月くらいの期間を旅しています。
また、近年では昔の筆者のように、一度で数年間旅するわけでなく、海外で貯金が尽きたら一度帰国してリゾートバイトなどの住み込みバイトでお金を貯め、資金が貯まったら再び海外へ行き、貯金が尽きたらまた日本でリゾートバイト…といったライフスタイルのバックパッカーも増えてきています。
どんな人がバックパッカーをしているの?
バックパッカーの多くは20〜30代の定職に就いていない若者、もしくは休学中の大学生などですが、近年では定年退職したシニア世代で夫婦でバックパッカー旅をしている人たちもいます。
また、意外と多いのが農家。毎年11月〜3月の農閑期になるとバックパッカー旅をする人をよく見かけます。
ちなみに、コロナ禍以前の話になりますが、JTB(日本旅行)が行った調査によれば、海外旅行をする人のうちバックパッカーの割合は5%程度。日本人の海外旅行者数が毎年1,840万人くらいなので、毎年約92万人がバックパッカー旅行をしていることになります。意外と多い数字に感じられないでしょうか?
バックパッカーのライフスタイル
中長期も海外にいてバックパッカーは毎日なにをしているのか。観光?いえいえ、さすがに毎日観光することはないです。
バックパッカー中になにをするかは人それぞれですが、基本的には格安の宿に泊まりながら、各国・都市を転々と移動して、あとは自由に過ごすだけ。観光をする日もあれば、宿でだらだらと過ごすだけの日もあったり、仲良くなった他のバックパッカー達と探検に出る日もあります。
旅行期間が長い人ほど観光などの普通の旅行で経験できることは避け、珍スポット巡りをしたり、現地でボランティア活動に参加してみたり、中には現地人の恋人を作って同居を始める人までいます。
中にはとある都市の路線バスを全部乗りこなして、オリジナルの路線図を作るなどといったマニアックかつ社会的意義のある行動をする人もいて面白いです。
ちなみに筆者のスタイルは「テーマを決めた旅」をすること。例えばその国の文化を調べ、遺跡や寺院といった文化財を巡り、各施設の歴史などをまとめてブログに執筆していました。
(筆者が特に好きなのがタイの寺院巡り。タイの寺院は日本では考えられないほどフォトジェニックで迫力がある)
楽しみ方は人それぞれですが、せっかくならなにか有意義な目的を一つもって旅をすると、いっそう面白い経験になります。
バックパッカーになろう!必要なものを全て解説
下記では、これからバックパッカーになりたい人に向け、必要な荷物や費用、旅中の収入源、バックパッカーが泊まるホテルの様子などを包括的に解説しています。下記を抑えておけば、バックパッカーがどのような旅をしているのかイメージがつくでしょう。
まずは持ち物!必需品15選を知っておこう
以下は「これさえあれば旅できる」バックパッカーの必需品15選です。下記の荷物をバックパック(容量は40〜50Lがのぞましい)に詰めた時の重さは10〜15kgを想定しておきましょう。
- バックパック
- サブバッグ
- パスポート
- クレジットカード
- ドライヤー
- サンダル
- ワイヤーロック
- 洗面用具
- 衣類(3〜4日分くらい)
- 衣類圧縮袋
- 充電器、コード類
- 変換プラグ付属の変圧器
- モバイルバッテリー
- 折りたたみハンガーと洗濯紐
- 常備薬
渡航先によってはさらに必需品が加わります。例えば東南アジアのような常夏かつ伝染病が多い国であれば、日焼け止めや虫除けスプレーを持って行ったり、冬がある国ではヒートテックやユニクロの軽量ダウンを持参すると良いです。
バックパッカーの必需品や実は意外と必要ないものなどについての詳細は、以下の記事を参考にどうぞ。
どんなリュックを背負っているの?
バックパッカーが使うリュック(バックパック)は、いわゆるタウンユースのリュックとは全く異なります。タウンユースであれば見た目を重視しますが、バックパッカー用リュックにおいて重視するべきは、なによりも機能性です。見た目は二の次、と言うより見た目なんて地味な方が良いくらいです。
具体的にバックパッカーは以下を重視してリュックを購入します。
- ウエストハーネスがある
- 背中パッドがある
- ポケットが多い
- ドリンクホルダーがある
- サイドアクセスできる
- ファスナータイプ
- 地味な色
- 耐水性素材(もしくはレインカバー付き)
- できるだけ軽い(2kg以内がベスト)
- 有名アウトドアブランドだと、なお良し
バックパッカーはリュックを背負って行動する時間が長くなるので、できるだけ負担がかからないよう機能性に優れたリュックを選びましょう。また、いくら機能性が優れていても背負い心地が自分にあっていなければ元も子もないので、リュックは通販で買うのではなく実店舗にいって実際に背負って購入を決めるべきです。
その他の補足として、旅行期間ごとのサイズの選び方、各サイズの荷物を詰めた時の重量の目安も含め、リュックの選び方を以下の記事で解説しています。参考にどうぞ。
どんなホテルに泊まっているの?
バックパッカーは長期で旅をするため、できるだけ安いホテルに泊まります。とはいえ、あまりにも安すぎるホテルはエアコンなし窓なし、さらには大量に虫が発生する…なんていう監獄のような環境も珍しくありません。そのため、できれば1泊2,000円前後のゲストハウスに泊まることをおすすめします。
1泊2,000円も出せば、上写真のような綺麗である程度の広さがある個室のゲストハウスに宿泊できます。もちろんエアコンや冷蔵庫といった家具家電設備も完備。
宿代をケチって1泊1,000円くらいのドミトリー(相部屋)などに泊まり続けるのは、旅慣れている人でないと相当大変です。他人(しかも見知らぬ外国人たち)との相部屋で生活を続けるのはストレスが溜まるでしょう。たまに節約で泊まるくらいならいいですが、基本的には1泊2,000円は出せる予算を用意しておきたいです。
バックパッカーが泊まるゲストハウスやドミトリーの詳細については、以下の記事も参考にどうぞ。ゲストハウスならではのルールや、安宿の魅力についても解説しています。
旅の費用と収入源
下記はバックパッカーに人気の渡航先「インド」「タイ」「東ヨーロッパ」の必要な費用をおおまかにまとめた表です。渡航先にもよりますが、1ヶ月最低5〜20万円で旅できます。
- インドの1ヶ月の滞在費用
飲食費計 | 13,000円 |
---|---|
宿泊費計 | 14,000円 |
交通費計 | 20,000円 |
観光費計 | 5,000円 |
その他計 | 5,000円 |
合 計 | 57,000円 |
- タイの1ヶ月の滞在費用
飲食費計 | 16,000円 |
---|---|
宿泊費計 | 40,000円 |
交通費計 | 35,000円 |
観光費計 | 8,000円 |
その他計 | 10,000円 |
合 計 | 109,000円 |
- 東ヨーロッパの1ヶ月の滞在費用
飲食費計 | 75,000円 |
---|---|
宿泊費計 | 55,000円 |
交通費計 | 50,000円 |
観光費計 | 10,000円 |
その他計 | 10,000円 |
合 計 | 200,000円 |
航空券や荷物の準備費用を含めてプラスで10万円も用意しておけば、お釣りがくるくらいです。現地人の目線に合わせたバックパッカー旅であれば、ここまで安い金額で長期滞在できてしまうのもメリット。バイトで十分に貯められる額です。
旅をしながら収入を得るのは難しい
多くの人にとって理想の形は旅をしながら収入を得て、好きなだけバックパッカーを続けることでしょう。近年はSNSをはじめ、そうした生き方を実行しているインフルエンサーを多々見かけますね。
しかし、旅をしながら収入を得るのは非現実的です。不可能ではありませんが、いざ収入を得ようとなると、「ネットを利用した広告収入」や「プログラマーなどの特別な能力が必要」だったり、収入を得る手段は限られています。そのため、基本的にバックパッカーは日本で仕事をして必要分のお金を貯めてから旅に出ます。
どうしてもバックパッカーをしながら収入を得たい人は、以下の記事も参考にしてみてください。現実的な方法も厳しさも含め収入を得る方法を解説しています。
バックパッカーをする目的は?そして将来どうなるの?
バックパッカーをする目的は人によって様々ですが、多くの人に共通しているのは「異文化の体験」「自分探し」「リラックスを求めた休暇」といったところ。
また、中には日本社会に嫌気がさし、自分を知る者が誰もいない異国の地でだらだらと過ごしたいという人もいます。一見ポジティブに思えるバックパッカー旅ですが、社会からドロップアウトした人の中には、居場所を求めて途上国で引きこもること(いわゆる「外こもり」)を目的とした「沈没者」もいます(バックパッカー用語で、一つの都市に目的なく怠惰に毎日を過ごすことを「沈没」と呼ぶ)。
女性バックパッカーの観点は面白い
筆者が面白いと思ったのが女性がバックパッカーをする目的。もちろん女性全員に当てはまるわけではありませんが、男性が「リラックスや余暇休暇」を求めてバックパッカーをする傾向がある一方、多くの女性は「カオスな体験」や「現地人との交流」といった海外ならではの濃厚な刺激を求めて旅にでる傾向があります。
確かに筆者も長いバックパッカー生活において、知り合ったバックパッカーの女性から話を聞いたり、女性バックパッカーの体験談のブログを多々読みましたが、女性の方が男性よりも刺激的なストーリーを持っていることが多く、バイタリティにあふれていると実感しています。
女性の方が海外という異なる環境に対する順応能力や好奇心が高いということでしょう。
ただ、一方で女性の方が男性よりも危険がつきまといます。特に性的被害においては、日本よりも海外の方が圧倒的に危険です。女性がバックパッカーをするなら十分に気を付けるべきです。
女性バックパッカーが気をつけるべきことや、女性におすすめの渡航先などについては、以下の記事にて詳しく解説しています。是非参考に。
バックパッカーを続けると将来どうなる?その末路とは?
バックパッカーにとっての一番の不安は、旅を終えたあとの将来でしょう。1年も2年も日本社会から離れ空白期間を作ってしまうことは、社会経験がない人でもデメリットがあるのは容易に想像がつきます。
とはいえ、空白期間があるからと言って二度と社会復帰できないほど日本社会は厳しくありません。基本的には心配不要。さすがに冒頭で述べた10年も日本に帰って来ていないような強者になると話は別ですが、1年くらいなら問題なく社会復帰できます。
筆者はフリーランスという道を選びましたが、筆者のバックパッカー仲間の多くは旅を終えたあとは普通に就職しました。ただ、空白期間がある人とない人では、ある人の方が社会的印象は悪くなってしまうのは頭に入れておくべきでしょう。
とは言え、そういったことを気にして旅を断念すると、間違いなく人生に後悔を残してしまいます。尻込みして将来後悔するくらいなら、今行ける時に行くべきです。
不安も多いバックパッカー。まずは日本で擬似体験がおすすめ!
バックパッカーは楽しい旅であり、得られることが多いです。しかし一方で、海外へ出ることに対しての不安も多々あるでしょう。多くの国が日本より圧倒的に治安が悪く、またなにもかも日本とは勝手が違います。思い通りにならないことや、危険を感じるのが当たり前なのがバックパッカーです。
いきなり海外へ出るバイタリティを否定はしませんが、相応の準備や旅慣れをしておかないと大変な事態に巻き込まれる可能性は否定できません。
であれば、いきなり海外へ出るのではなく、まずは国内でバックパッカーをすることもおすすめします。
実はコロナ禍以降、海外へ出ることが難しくなったために、国内バックパッカーという旅行スタイルが定着しつつあります。また、日本はインバウンド需要が盛んであるため、様々な外国人向け施設や娯楽が普及していて、日本にいながら異国のような気分を味わえるスポットが多々存在するのです。
また、日本であれば勝手は十分に理解しているため、旅慣れしていない人でも安心して旅できます。加えて、日本であれば海外とは異なり、リゾートバイトなどを利用すれば旅をしながら収入を得ることも実現できます。
リゾートバイトで旅の擬似体験を!
上述したように、筆者はリゾートバイトをしてお金を貯めては海外へ行きバックパッカーをしていました。筆者がこれまでに海外でトラブルに見舞われずバックパッカー旅を続けてこれた理由は、実はリゾートバイトで旅慣れできていたからです。
リゾートバイトは全国の行楽地や観光地、温泉地を旅するように転々と移動しながら働ける住み込みのアルバイトです。生活様式が非常にバックパッカーと似ているため、「異なる環境に順応する能力」が高まります。バックパッカーの予行になるのです。
加えてリゾートバイトであれば収入を得られます。海外へバックパッカー旅をする費用も十分に貯められます。
国内で働くので海外とは若干異なるものの、リゾートバイトも普段の生活では絶対に出会えない人たちとの出会いがあったり、今までとは異なる環境に順応することで、自分自身への成長につながります。
バックパッカーを志す人にとって最適な働き方・ライフスタイルと言えます。
是非、海外バックパッカーを検討している人は、まずは国内でリゾートバイトを経て、一回り大きくなって海外へ飛び立ってはいかがでしょうか。経験値を積むことで、いざ海外へ出た時にさらに広い視野をもって旅できるようになりますよ。
この記事を書いた人
伊藤 良二
伊藤 良二
3年間で10箇所のリゾートバイトを経験。現在は日本とタイの二拠点生活を送りながら、アフィリエイター兼WEBライターをしています。 タイの魅力はスバリ!「タイの寺院は美しいから」。
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