【日本三大そば】の違いは？特徴や歴史、蕎麦と結びつきが強い寺社仏閣を紹介

古くから日本人の心を掴み、広く愛されている独自の食文化「そば」。
そんな蕎麦の有名どころ3つといったら、あなたはどの蕎麦を思い浮かべますか？

今回は、三大〇〇シリーズの中から「日本三大そば」にフォーカス！
蕎麦好きなら一度は食べてみたい！全国で最も有名な蕎麦3つ「日本三大そば」について、それぞれの特徴や食べ方の違いなどお伝えします。

日本三大そばとは？

日本三大そばとは、一般的に岩手県「わんこそば」、長野県「戸隠（どがくし）そば」、島根県「出雲そば」といわれています。日本各地、蕎麦の産地は沢山ありますが、最も知名度が高い3つを総称して三大そばと呼んでいます。

そもそも、この日本三大そば。一体だれがいつ、どのようにして決めたのでしょうか？

日本三大そばはどのように決められた？

わんこそば・戸隠そば・出雲そばの3つが日本三大そばと呼ばれるようになった理由については、明確な記録は残っていません。

誰が決めたかということも定かではありませんが、知名度が高く、各地域の風土や文化を反映させた長い歴史をもつ蕎麦であることから自然と「日本三大そば」と呼ばれるようになったと考えられます。

日本三大そばそれぞれの特徴や違いを深堀

ここからは「わんこそば」「戸隠そば」「出雲そば」のそれぞれの由来や歴史、食べ方、魅力などについて、深堀していきます。

【わんこそば／岩手県】ユニークな提供スタイル

わんこそばの歴史・特徴

「わんこ」とは、岩手県の方言で「椀」をさす言葉。
わんこそばの起源は、岩手県の花巻発祥説と、盛岡発祥説の2つあり、どちらもお客様をおもてなしする際に蕎麦を振る舞う習慣がありました。

少しずつお椀に盛って提供すことで、茹でたての蕎麦を大勢に振る舞えるため、いつしかその提供スタイルが根付き「わんこそば」という食文化が誕生したと考えられています。

お店によっては、わんこそばに挑戦した証として、何杯食べたのかを記したちょっとした小物がもらえることも……！

ただわんこそばは、大食いや早食いを競うものではなく、本来は茹でたてのそばをおいしく心ゆくまで食べてもらうためのおもてなしの料理です。
その気持ちを忘れずに、堪能してください。

わんこそばの食べ方

わんこそばの食べ方は独特で、小さなお椀に入ったおそばが、お給仕さんの「ハイハイ、どんどん、じゃんじゃん」などの掛け声とともに提供されます。こちらから「ストップ」の合図を出すまで続きます。

そばつゆやネギ、わさびなどの薬味を好みで加えて食べることも可能です。

【戸隠そば／長野県】そば処・長野県屈指のそば　ぼっち盛りが特徴

戸隠そばの歴史・特徴

戸隠そばとは、長野県長野市の戸隠地区で作られるそばのことで、その歴史は平安時代までさかのぼります。
麺は、都会の白く細い更科そばと比べると、やや色が濃くて麺も太いのが特徴です。

ちなみに長野県といったら「信州そば」を思い浮かべる方も多いと思います。信州そばとは、長野県全域で作られたそばを指す言葉です。
よって戸隠そばも信州そばの一部となります。

戸隠そばの食べ方

戸隠そばは、5束ほどに小分けにして竹ざるに並べる「ぼっち盛り」という独特な盛り方をしていて、薬味に、戸隠大根を用いた大根おろしをいれます。
さらに、地元で獲れた山菜の天ぷらなどと一緒にいただくのが一般的な食べ方です。

【出雲そば／島根県】割子に盛られた見た目が美しい 映え度アップ

出雲そば歴史・特徴

出雲そばの起源は、松江藩・松平家初代藩主松平直政公が江戸時代初期に信州から出雲に移り、その際にそば文化を持ち込んだことが出雲そば文化のはじまりとされています。

そば粉を分類せずに丸ごと挽く「挽きぐるみ」と呼ばれる製粉方法のため、一般的なそばと比べて黒味がかっているのが特徴。
本来の風味や栄養が保たれそば特有の風味や成分が豊富に含まれています。

出雲そばの食べ方

出雲そばの代表的な食べ方としては「割子そば」と「釜揚げそば」があります。

割子そばとは、円柱状の丸い重箱「割子」に盛られた冷たいそばで、三段重ねの器で提供されるのが一般的。

＜王道の食べ方＞
1. 一番上の段のそばに、ねぎや海苔、もみじおろしなどの薬味をのせてつゆをかけていただく
2. 器に残ったつゆを二段目に移し、薬味とつゆを追加していただく
3. 三段目も二段目同様にいただく
4. そば湯を飲んで締める

日本三大そばを食べに訪れたら行きたい！寺社仏閣

旅行先で寺社仏閣を訪れると、蕎麦屋さんが目に入る……なんてことはありませんか？
実はそばとお寺の関係は深く、お寺の僧侶たちが「五穀断ち」といった修行をする中で、五穀に含まれない蕎麦が重要な栄養源になったいたといわれいます。

そのため、僧侶にはそば好きが多く、寺社の門前にある蕎麦屋やそこで提供されるそばを「門前そば」と呼ぶようになったそうです。

ここからは「わんこそば」「戸隠そば」「出雲そば」を食べに行ったらセットで訪ねたい歴史ある寺社仏閣を紹介します。

【中尊寺／岩手県】金色堂の輝きに目を奪われる

岩手県平泉にある中尊寺は、比叡山延暦寺の高僧慈覚大師円仁（じかくだいしえんにん）によって開かれ、その後、奥州藤原氏初代清衡公によって大規模な堂塔の造営が行われました。2011年には世界遺産に登録されています。

見どころは、金箔を張り巡らした華麗さに目を引かれる「金色堂」。中尊寺創建当初の姿を今に伝える建造物で、往時の建築、彫刻などの工芸技術が集約された御堂です。

場所

＜住所＞
岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202

＜アクセス＞
東北自動車道 平泉・前沢ICから車で約10分

【戸隠神社／長野県】全国的にも有名なパワースポット

霊山・戸隠山の麓に位置する日本屈指のパワースポットとしても有名な戸隠神社。
先ほど紹介した戸隠蕎麦との関わりは深く、2000年余りの歴史がある戸隠神社には多くの修経者がたくさん集まったそうです。
その際、修行僧の食料としてそば粉を水で溶いて食すことからはじまり、その後そば切りへの進化し全国に広まったんだとか。

毎年11月上旬には、戸隠神社五社の一つである中社で「蕎麦献納祭」が行われます。

奥社へは、門から約500ｍにわたり左右200本以上のスギの巨木が続く参道を通って向かいます。観光ポスターなどにも使用されたことがある参道で、厳かな雰囲気がとても魅力的です。

場所

＜住所＞
長野県長野市戸隠中社3

＜アクセス＞
上信越道信濃町ICから車で約40分

【出雲大社／島根県】縁結びのご利益があることで大人気

誰もが一度は耳にしたことがある出雲大社は、島根県出雲市にある日本を代表する神社です。
縁結びの神様・大国主大神（おおくにぬしのおおかみ）が祀られていることから、人とのご縁にご利益があることでも有名です。

出雲そばの食べ方の一つ「釜揚げそば」は、出雲大社に全国の神々が集まる「神無月」に訪れる大勢の参拝客に、たくさんの温かいそばを振舞うための方法として誕生したといわれています。

場所

＜住所＞
島根県出雲市大社町杵築東195

＜アクセス＞
JP出雲市駅からバスで約25分

日本三大そばを制覇する旅にでかけよう

日本三大そばはどこが選ばれているのか、違いは何のなのか、また、そばを食べに訪れたら絶対に行ってほしい寺社仏閣について紹介してきました。

三大そばは、それぞれの産地で紹介した寺社仏閣周辺で、食べることができます。
特徴も食べ方も異なる3つのそばを、その土地の歴史に思いを馳せながらいただいてみてはいかがでしょうか。